寒さが近づくと「今年の松葉牡丹は終わりかな」と感じる方も多いのではないでしょうか。
松葉牡丹は7℃を下回る環境で枯死するため、日本の多くの地域で冬越しは難しいとされていますが、実はある対策で毎年冬越しに成功しているご家庭もあります。
そのようなお宅の庭先を見かけた方が「私のと同じ松葉牡丹かしら?」と首をかしげることもあるようです。
本記事では、松葉牡丹の特徴や冬越しさせるための育て方、また冬越ししやすい品種などをご紹介します。
松葉牡丹の育て方はそれほど難しくありませんが、知っているともっと楽しめることがあるはずです。
この記事を読んで、松葉牡丹の美しい姿を翌年もぜひ楽しみましょう。
松葉牡丹は冬越し可能?そもそも多年草ですか?

一度植えると同じ株から2年以上花をつける植物のことを多年草といいます。
冬越しできるということは多年草であることを意味しますが、松葉牡丹はそもそも多年草でしょうか。
まずは、松葉牡丹の特徴や生育条件からお伝えしましょう。
松葉牡丹の基本的な特徴
松葉牡丹は「日照り草」の別名で呼ばれるほど、真夏の暑い日差しと乾燥に強く、6月から9月頃まで途切れることなく花を楽しむことができます。
ブラジルやアルゼンチンが原産で本来は多年草ですが、耐寒性が弱く約7℃以下の環境では生育が難しいため、日本の多くの地域で冬越しは難しいとされていますよ。
そのため、園芸的には一年草として扱われているのです。
おこめアルゼンチンやブラジル生まれの日照り草。
それは寒さに弱いよね。
冬越しできる地域と難しい地域
つまり、7℃を下回らない地域なら、地植えでも冬越しができる可能性があるということになります。
例えば沖縄や九州南部では、少し防寒対策を加えるだけで、冬越しも難しくはないでしょう。
しかし、7℃以下になる地域では「低温・霜・冷気」に影響を受け、ほぼ枯死してしまいます。
そのため、本州の多くの地域では、基本的には冬越しは難しいのが現状です。
沿岸部や都市部など、冬でも比較的暖かい地域でなおかつ条件が整っていれば、地植えのまま冬越しできる場合もあるようですが、確率としては高くはないようですね。
地植えと鉢植えの比較
地植えは、根が地中の熱を利用できるという利点はありますが、外気温の影響を直接受けますし、湿害や凍結でのダメージも被りやすいため、厳しい冬越し環境となります。
その点、鉢植えは日当たりのよい場所や室内に鉢を移動することができるため、地植えより冬越しを成功させやすいでしょう。
松葉牡丹の冬越しには挿し芽と防寒対策が必須!


では、7℃を下回る環境では生育できない松葉牡丹を、どうしたら冬越しさせることができるのでしょう。
その有効な手段として「挿し芽」と徹底した「防寒対策」があります。
また、松葉牡丹にとって春から夏が最盛期ですが、この季節の手入れも冬越しのための大事なポイントです。
花咲きみだれる季節の育て方から冬越しさせる対策まで、順番にご紹介しますね。
春から夏にかけての育て方 摘心・花がら摘み・切り戻し
松葉牡丹の生育はそれほど難しくなく、放っておいても花を咲かせますが、春から夏の間、少し手入れをするだけで、その美しさも変わります。
梅雨明けから夏にかけて茎がどんどん伸びてきて、株全体の形が乱れるくらいになったら「摘心(てきしん)」という作業で、茎の先端を摘みとりましょう。
この作業をすると、脇芽の成長が促されるため株が茂り、結果的に花数も増える利点があります。
その後、最盛期に入り花が次々と咲くようになったら、終わった花を早めに摘む「花がら摘み」をしましょう。
花が咲き終わると種を作る準備が始まるため、次の花を咲かせる力が次第に奪われ、段々と花数が減ったり株が弱ったりします。
そのため「花がら摘み」をして、花を咲かせる状態をキープするわけです。
そして、花が十分に咲いて、いよいよ株の形が乱れてきたら、全体の1/3から1/2ほどをカットする「切り戻し」を行いましょう。
「切り戻し」をすることで風通しが良くなり、株を若返らせることができるため、冬越しの準備ができます。
その際、剪定した枝を「挿し穂」として利用します。
出典:NHK出版 みんなの趣味の園芸 切り戻し前 切り戻し後
「みんなの趣味の園芸」は、NHK出版「趣味の園芸」テキストと連動した、園芸・ガーデニングの情報コミュニティサイトです。
専門家が執筆する「育て方がわかる植物図鑑」や、会員の栽培日記「みんなのそだレポ」など、園芸に関する情報が満載。
松葉牡丹のレポートも多数寄せられています。
挿し芽で冬越しに挑戦!
この「挿し穂」を利用して新しい株を生育することが、松葉牡丹を冬越しさせる有効な対策の一つです。
茎を10〜12cmほどに切り取り、葉が3枚~4枚ほどつくように下葉をカットしたら、水を張った花びんなどにさして給水させます。
そして、茎から少し根が出てきたら、小さめのポットに「挿し芽」をしましょう。
出典:NHK出版 みんなの趣味の園芸 挿し穂を花びんなどにさす 発根したら、小さめのポットに挿し芽をする
挿し芽の後は、明るい日陰で土の表面が乾きすぎないように注意が必要です。
順調にいけば茎が伸びていくので、もう少し大きめの鉢に定植して日当たりが良く風通しのよい場所で見守ります。
冬の間は鉢植えのまま温かい環境で育て、7℃を上回る頃、地植えをすれば松葉牡丹の美しい花を再び楽しむことができるというわけです。



挿し芽で予備の株を作っておくのね。
地植えのまま冬越しさせるときの対策
地植えでの冬越しは、とにかく防寒対策が重要です。
まずは、初霜が来る前に茎を剪定して風通しを確保し、根元に腐葉土やバークチップ、もみ殻などで覆います。
松葉牡丹は水はけがよい状態を好むので、マルチング(植物の株元の地表面をシートやわらなどの資材で覆うこと)では湿気のこもらない資材を選びましょう。
次に、寒波がくる頃には不織布で株全体を覆い、場合によっては支柱でビニールカバーを作り、直接の霜や冷たい雨風から守ります。
ビニールは結露しやすいので、日中に換気をするか、短期間の使用に留めることもポイントの一つですね。
松葉牡丹は冬越しができずとも種でまた咲きます


挿し芽や防寒対策はしないまま冬の到来を感じて「もう冬越しはできないかも…」と不安に感じる方もいるかもしれません。
いえいえ、松葉牡丹は種で咲かせることも難しくないので安心しましょう。
冬越しとは言えませんが、種から育てることで翌年もきれいな松葉牡丹を楽しむことができます。
こぼれ種は親株と同じ花が咲く?
松葉牡丹は生命力がとても強いので、冬越しはできずとも、翌年自然に「こぼれ種」で花を咲かせることができます。
こぼれ種とは、花が終わった後に種が地面に落ちて、次のシーズンに自然に発芽することをいいます。
こぼれ種で翌年も咲かせたい場合は、花がら摘みは行わず、枯れた花をそのままにしておきましょう。
ただし、こぼれ種から発芽した苗は、必ずしも親株と同じ花色や形になるとは限りません。
交配が起きていたり、親株の前の世代に戻ったりする場合があるため、異なる花色や形になる可能性があります。
新しい世代の花として、春の開花を待ちましょうね。
新しい種での育て方
花色や形にお好みがある場合は、新しい種をまく方法がおすすめです。
松葉牡丹の種は、20~25℃くらいで発芽しますので、4~6月の気温が上がる頃に蒔きます。
発芽するときに光を求める「好光性種子」のため、種まき後は土を厚くかぶせず、手のひらで軽くおさえる程度にしましょう。
発芽するまでは土が乾かないようにしますが、種が流れたり飛散したりしないように、霧吹きやジョウロで優しく水を与えます。
ここでおすすめは「八重咲 まつばぼたん トーホクのタネ」です。
「八重咲まつばたん トーホクのタネ」には、ピンク、ホワイト、イエローなど、さまざまな色の花が咲く種が入っています。
やせ地でも丈夫に育つ松葉牡丹は、種から始めても約2~3ヶ月で開花しますし、お世話の手間もそれほどいりません。
松葉牡丹デビューを「八重咲まつばたん トーホクのタネ」で始めるのもおすすめです。
松葉牡丹でも冬越しに強い品種をご存じですか?


松葉牡丹は花色が豊富で一重咲きから八重咲きなど、さまざまな品種があります。
その中で「ジュエル」という品種をご存じでしょうか。
古くからある品種で、比較的冬越しさせやすいジュエルについてご紹介します。
ジュエルという品種について
ジュエルは通常の松葉牡丹より、ひと回り大きな一重咲きの花を咲かせます。
比較的耐寒性があるため、冬越しをさせたいなら、ぜひ候補にいれておきたい品種です。
花つきがよく、次々と大きな花を咲かせ十月頃まで楽しめるため、上手に冬越しさせれば、何年もの間、美しく彩られた庭先を楽しむことができます。
比較的楽に冬越しできます
ジュエルも寒さが近づくと、花を咲かせた茎は弱って枯れますが、株元には翌年の春に備える新芽が出てきます。
また、土の中では根を這わせ、冬の寒さに備える体制を整えますよ。
この耐寒性で軽い霜程度なら耐えることができますが、さらに簡単な防寒対策を行えば、より安心して冬を越すことができます。
松葉牡丹と同じように切り戻しをして株の形を整え、株元には腐葉土やもみ殻などを用いて寒さ対策を施しましょう。
鉢植えなら、雨や雪が直接当たりにくい軒先や日当たりのよい場所に移動させておくとさらに安心ですね。
まとめ


日本の大半で松葉牡丹の冬越しは難しいと言われていますが、挿し芽と防寒対策で翌年も美しい花を楽しむことができます。
特にジュエルという品種は耐寒性を備えているため、比較的簡単に冬越しが可能です。
もし、冬越しに失敗したとしても、生命力の強い松葉牡丹はこぼれ種で発芽しますので春を待ちましょう。
翌年も翌々年も、松葉牡丹が色とりどりに咲くのを楽しみましょうね。








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