十五夜に月見だんごとして食べる団子は、白くてまん丸のものが一般的ですよね。
しかし、ある地域では「へそもち」といわれる、真ん中がへこんだ団子が親しまれていますよ。
まん丸の団子ではなく、真ん中をへこませるようになった経緯などが気になりますよね。
この記事では、十五夜とへそもちの関係や縁起のよい言い伝え、美味しく食べるコツなど、十五夜を楽しめる情報をお伝えしていきます。
また、へそもち以外のご当地団子についても紹介しているので、最後までお見逃しなく!
それでは、十五夜とへそもちの関係からみていきましょう♪
十五夜とへそもちの関係は?食べると縁起がよい!
ここでは、十五夜とへそもちには、どんな関係があるのかについて解説していきます。
十五夜にへそもちを食べると縁起がよいといわれていますが、その理由が気になる方もいるのではないでしょうか。
十五夜とへそもちの関係を知って、縁起のよい1年を過ごせるように、十五夜を楽しんでみましょう♪
十五夜に食べる「へそもち」とはどんなもの?
まずは、十五夜に食べる「へそもち」とは何か、ご説明しますね。
旧暦8月15日の十五夜、あるいは旧暦9月13日の十三夜のお月見の際にお供えされる月見団子で、富士川以西の県中・西部地域特有のもの。へそ団子ともいう。へそもちとは、上新粉の団子をひらたく丸め、その中央をへこませたもの。必ず、その年の新米で作る物とされていた。かつては、この餅を、12個、閏年には13個、新藁の束の上にのせて供えたり、月見の日に子供たちが各戸をまわり、縁側に供えたもちをもらい歩くという風習も広くみられた。
引用:公式農林水産省「うちの郷土料理」
へそもちは、静岡県のみで食されるご当地の月見団子で、団子の真ん中がへこんでいる様子がおへそに似ていることから、へそもちという名前が付けられました。
十五夜では丸いお団子を食べる地域が多いですが、真ん中がへこんでいるへそもちでも、かわいらしく美味しそうに見えますよ。
子どもがへそもちをほおばっている姿を想像すると、十五夜が待ち遠しく感じますね。
そんなへそもちが十五夜に食べられるようになったのは、ある将軍の幼少期が関係しているようですよ。
縁起がよいとされる理由も一緒にみていきましょう。
十五夜にへそもちが食べられるようになった経緯
徳川家康が静岡市にある駿府城にいた幼少時代、食欲がなかったときに付き人がへこみ部分にあんこを入れて食べさせたことが始まりといわれています。
子どもはごはんは食べなくても、甘いものは食べるということがよくありますよね。
幼い頃の徳川家康も同じだったのかもしれないと思うと、親近感がわいてきます。
付き人の、「元気に育ってほしい」という想いが込められた食べ物ということで、縁起のよい食べ物といえますね。
昔は、へそもちを新米で作るというルールがあり、新米がとれる中秋の名月あたりによく食べられていました。
こうした名残が、へそもちで十五夜を楽しむという現在の食文化へと繋がっているのですね。
十五夜にへそもちを食べるのは静岡県の風習!
十五夜にへそもちを食べるのは、前述した通り、静岡県の風習です。
静岡県では、味付けなど、どのようにして十五夜のへそもちを楽しんでいたのでしょうか。
ここからは、静岡県に代々伝わるへそもちの作り方を紹介していきます。
静岡県で食されるへそもちの作り方
へそもちは、うるち米を粉状にした上新粉を主な生地の材料として使用します。
- 上新粉:200g
- 白玉粉:30g
- 砂糖:大さじ2
- お湯:180ml
- あんこ:粒あん・こしあんはお好みで適量
まずは、上記の材料(あんこ以外)をボウルに入れて混ぜましょう。
粉っぽさやかたまりがなくなるまでしっかりと混ぜます。
生地ができたら、15等分(十五夜は15個の団子が一般的)にカットしましょう。
1個を手のひらで転がして丸めたあと、指で生地を押して真ん中をへこませます。
次に、生地をゆでていきます。沸騰したお湯の中にへこませた生地を入れていきましょう。3~4分ほどゆでるとよいですね。
ゆでおわったら、冷水につけてあら熱をとりましょう。
あら熱がとれたら、バットへ移すなどして水気をとります。
へそもちも、一般的な月見だんごと同様に、お供えの際はピラミッド型に重ねます。
静岡県では、最初からあんこを中に入れて作るのが主流ですが、今回はあんこが中に入っていない場合の作り方を紹介しています。だんごとは別にあんこを盛り付け、へその部分にあんこを入れて食べるとよいですね。
十五夜のへそもち以外に他の地域のご当地団子を紹介
へそもちは、歴史や団子の形が特徴的で面白かったですよね。
ここからは、へそもちの他にも、その地域でしか食べられていないご当地団子はあるのか、気になったので調査してみました。
へそもち以外にも変わったご当地団子があり、面白かったので一部紹介していきます。
日本各地域でのご当地団子事情
2023年にウェザーニュースで実施された「あなたの地域のお月見団子は?」というアンケート調査の結果を参考に紹介していきます。
アンケート調査によると、白い丸い形だけではなく別の形が親しまれていることがよくわかる調査となっていますよ。
また、地域ごとにどのような月見団子が親しまれているのかがわかるデータとなっています。
「その地域ならではのお月見団子」について知るためにうってつけの調査結果のため、見ていきましょう。
出典:公式ウェザーニュース「白い丸形だけではない!?
白い丸い形 餡かぶり その他 北海道 85% 2% 13% 東北 84% 4% 12% 関東 90% 3% 7% 北陸 74% 9% 17% 甲信 84% 4% 12% 東海 87% 3% 10% 近畿 60% 31% 9% 中国 85% 5% 10% 四国 82% 11% 7% 九州 83% 7% 10% 沖縄 37% 7% 56%
地域によって異なる月見団子とは」
やはり、全国的には最も白い丸いかたちの団子が多く親しまれているようです。
しかし、近畿では全国と比較して餡かぶりの割合が高く、沖縄ではその他が多くみられますね。
ここからは、それぞれのご当地団子についてみていきましょう♪
関西で食される餡かぶり
京都や大阪など関西では、しずく型の団子に餡子がかかっているものが、月見だんごとして親しまれていますよ。
実は、十五夜の時期は里芋の収穫時期で、十五夜は「芋名月」といわれることがあります。
京都など関西では、昔は団子ではなく里芋がお供え物だったそうです。
こうした名残から、月見だんごを里芋に見立てて細長く、あんを雲に見立てて団子の上から包むように作るようになったと考えられています。
関東が月に見立てて丸い形にするのに対し、里芋に見立てて細長くするというのは、面白い違いですよね。
愛知県で食される三色の月見だんご
愛知県でも、関西と同様に「芋名月」にちなんで里芋をモチーフとした形のだんごが親しまれています。
さらに、カラフルな色は、里芋の収穫までの過程を表しており、ピンクは「開花」白は「実り」茶色は「土からの収穫」です。
愛知県内でも知名度に差はあるようですが、一部の地域では昔給食に出ていたほど有名な月見だんごです。
色までつけるほどに、愛知県で里芋の収穫が喜ばれていたことがわかりますよね。
一般的な月見だんごと比較して、関西や愛知県で食される月見だんごは大きくボリュームがあります。
お餅をたっぷり味わいたい場合は、普段の月見だんごを少し変えて、しずく型にしてみるのもよいですね♪
沖縄で食される「ふちゃぎ」
沖縄では、「ふちゃぎ」といわれる餅が月見だんごとして親しまれるようです。なかなかインパクトのある見た目ですよね。
餅に、たくさんの小豆がまぶされていますが、餅も小豆も基本的には無味で作るそうですよ。
餅は月、小豆は星を表すとされ、小豆の数が多いほど子孫繁栄に繋がるとされています。
一般的に「中秋の名月」といって月が愛でられる十五夜ですが、「芋名月」や「子孫繁栄」など地域によって意味が異なるのですね。
まとめ
- 十五夜にへそもちを食べると縁起がよい
- 十五夜にへそもちを食べるのは静岡県の風習
- 十五夜に食べられるへそもち以外のご当地団子を3つ紹介
・関西で食される「餡かぶり」
・愛知県で食される「三色の月見だんご」
・沖縄で食される「ふちゃぎ」 - 地域によって十五夜がもつ意味が異なる
へそもちの歴史や縁起のよい言い伝えを知れば知るほど、へそもちの魅力を感じられますよね。
また、へそもち以外にも、インパクトのあるご当地団子があり、十五夜が持つ意味が地域によって異なることは、面白い発見だったのではないでしょうか。
意外と深い月見団子の秘密、ぜひ誰かに話してみましょう♪
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